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法人活用で究極の節税~不動産所有方式①~
皆さんこんにちは。
大家の右腕税理士事務所 代表の細江博之です。
今回は、法人化3つの方式の3つ目の「不動産所有方式」について解説します。
不動産所有方式とは
不動産管理法人(同族法人)が物件を取得し、管理運営を行います。不動産管理法人が不動産(主として建物)そのものを所有しますので、家賃収入は100%不動産管理法人に入ります。もっとも所得分散効果が大きいと考えられる方式です。

土地を不動産管理法人に売却するとどうなる?
不動産所有方式を採用する際に、不動産を不動産管理法人に売却するのですが、建物のみ売却の場合と土地と建物両方を売却した場合にどのような違いがでるのでしょうか。
まず、建物を売却する際は、どのような価額で売却するかというと、時価です。
建物の時価を把握しようと思ったら不動産鑑定士さんに不動産鑑定評価をしてもらい、時価を把握し、その価格で不動産管理法人に売却します。
例えば、時価(不動産鑑定評価)が1億円の建物を売却したとします。その際に発生する税金のお話をします。
譲渡所得税(キャピタルゲイン)を考慮する
不動産を売却すると売却益(キャピタルゲイン)に対して譲渡所得税がかかります。
計算方法は譲渡価額ー(取得費+譲渡費用)=譲渡所得
譲渡所得税の計算には長期と短期によって税率が違います。
長期譲渡とは、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える場合。
短期譲渡とは、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の場合。
単純に保有期間が5年超ではなく、譲渡した年の1月1日現在が5年超でなければいけないので、
例えば2017年8月11日に取得した土地を2022年12月11日に売却した場合は
所有期間は5年4か月ですが、譲渡した年の1月1日現在は2022年1月1日ということになり、所有期間は4年4か月あまりとなってしまい、短期譲渡となります。
長期譲渡の税率は住民税と併せて20.21%、短期譲渡の税率は39.63%となり、短期の場合は税率が高額となりますので、ご注意が必要です。
土地を不動産管理法人に売却するとどうなる?
話を戻しますと、時価1億円の建物を売却した場合、取得費として考えるものは
建物の簿価(取得価額ー減価償却累計額)となります。
当初取得した価額が1.5億円で減価償却累計額が5,000万円だとしたら簿価は1億円ということになります。
つまり、譲渡価額ー取得費=1億円ー1億円=所得0円となり、譲渡所得税はかかりません。
ということは、譲渡所得税がかからないように売却するにはなるべく時価=簿価となればいいわけです。
ただし、簿価が1円のケースや簿価が固定資産税評価額よりも少ないケースは税務リスクが高いため注意が必要です。
一方、土地を売却するケースはどうかというと
先祖代々引き継いだ土地は取得費がわからないもしくはかなり安いことが多いので譲渡所得税が高くなってしまいます。譲渡所得税が高くても土地を売却した方がいいケースは稀なので、基本的には土地は売却しません。
銀行や税理士などから土地を含めて不動産管理法人へ売却するという提案をされた方は要注意です。
銀行は土地の売却によって土地の融資も出来るので、銀行にとってメリットがありますが
大家さんはデメリットが大きいです。
ですから、資産税に強い税理士に相談することをお勧めします。
さて、今回はここまでです。
次回は不動産所有方式の地代の支払いについて解説します。
まとめ
不動産所有方式は1番所得分散移転効果が高いです。
物件の売却は譲渡所得税が発生するので建物のみの方が良いです。

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